旅行中に体調を崩した訪日外国人が医療機関を探すとき、案内先のひとつになるのが、JNTO(日本政府観光局)のサイトで公開されている医療機関の検索です。その元になっているのが、厚生労働省と観光庁がまとめる「外国人患者を受け入れる医療機関リスト」です。診療所も掲載の対象になります。仕組みと申請方法を整理します。
「外国人患者を受け入れる医療機関リスト」とは
都道府県が、地域の医療提供体制を踏まえて外国人患者を受け入れる医療機関を選び、厚生労働省と観光庁が共同でとりまとめて公表しているリストです。2019年度から取りまとめられています。
リストは厚生労働省のサイトで公表されるほか、JNTO(日本政府観光局)のサイトで、日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語で訪日外国人向けに案内されます。最新のリストは2026年6月30日に公表され、8月と9月に一部改訂されています。
2つのカテゴリー
| 区分 | 内容 | 数の目安 |
|---|---|---|
| カテゴリー1 | 入院を要する救急患者に対応できる医療機関(二次以上の救急医療機関) | 都道府県に1か所以上 |
| カテゴリー2 | 外国人患者を受け入れ可能な医療機関。診療所・歯科診療所も含む。診療時間や診療科の制限はない | 二次医療圏に1か所以上 |
診療所が対象になるのはカテゴリー2です。掲載には、都道府県が「多言語対応の適格性がある」と判断することが要件です。
掲載の申請方法
掲載を希望する医療機関は、所在地の都道府県の衛生主管部局(医療政策や医療機関の担当課)に問い合わせます。申請の方法は都道府県によって異なります。
京都府の例
- 件名を「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストへの掲載申請」とし、本文に担当者名と連絡先を書いて、府の担当窓口にメールで申請する
- リストの更新は例年5月と10月ごろ。新規の登録は随時受け付け
- 電話翻訳や音声翻訳など、多言語対応の形式は問わない
掲載の前に整えておきたいこと
リストに載ると、外国人の患者さんが実際に来院するようになります。掲載の前に、少なくとも次の体制を整えておくと安心です。
- 多言語での受付と問診:多言語の問診票や、スマホ・タブレットでの問診(多言語問診票の選び方)
- 料金の決まりと事前の説明:訪日外国人の診療価格と、その伝え方(価格設定の考え方)
- 支払い手段と未収金対策:クレジットカード決済、受付での本人確認と保険の確認(未払い対策)
- 英文書類の発行:診療明細書・領収書・診断書(英文書類の作り方)
- 通訳の手段:説明や同意が必要な場面での通訳(医療通訳の方法と費用)
JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)との違い
JMIPは、一般財団法人日本医療教育財団が、外国人患者を受け入れる体制を第三者として評価・認証する制度です。書面調査と訪問調査で審査します。対象は、病院機能評価などほかの第三者認証を受けている病院や健診施設で、診療所は対象として示されていません。
診療所にとっては、都道府県が選ぶ医療機関リストへの掲載が、外国人患者を受け入れていることを示す現実的な方法といえます。
この記事のまとめ
- 厚生労働省と観光庁のリストは、JNTOのサイトで訪日外国人に案内される。
- 診療所はカテゴリー2の対象。都道府県が多言語対応の適格性を判断する。
- 申請は所在地の都道府県の衛生主管部局へ。方法は都道府県ごとに確認する。
- 掲載の前に、受付・問診・料金・支払い・書類・通訳の体制を整えておく。
よくある質問
Q診療所もリストに掲載されますか?
掲載されます。リストのカテゴリー2「外国人患者を受け入れ可能な医療機関」は、診療所・歯科診療所も含みます。都道府県が多言語対応の適格性があると判断することが要件です。
Q掲載を希望するにはどこに連絡すればよいですか?
所在地の都道府県の衛生主管部局(医療政策や医療機関の担当課)に問い合わせます。たとえば京都府は、件名と担当者名・連絡先を書いて府の担当窓口にメールで申請する方法を案内しています。
Q多言語対応はどの程度できていれば掲載されますか?
判断は都道府県が行います。京都府の案内では、電話翻訳や音声翻訳など、多言語対応の形式は問わないとしています。具体的な基準は都道府県によって異なるため、担当部局に確認してください。
Q掲載されると、どこに表示されますか?
厚生労働省のリストとして公表されるほか、JNTO(日本政府観光局)のサイトで、日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語で訪日外国人向けに案内されます。