訪日外国人の患者さんの受付・問診・会計を、まとめて任せられるクリニック向けサービス

受け入れ体制

外国人観光客がクリニックに来たら|受付から会計までの手順と準備チェックリスト

公開 更新 DOCTUS VISITORS 編集部

観光地や駅の近くのクリニックでは、訪日外国人の患者さんが突然来院することが珍しくなくなりました。2025年の訪日外国人旅行者は約4,268万人で、過去最高です。旅行中に病気やけがをする人は約4%といわれます。当日あわてないために、受付から会計までの手順と、事前に準備しておくものを、厚生労働省の資料に沿って整理します。

まず押さえたい前提:訪日外国人の診療は自由診療

日本に住んでいない訪日外国人は、日本の公的医療保険に加入していません。そのため診療は自由診療(自費)になり、医療費は全額を患者さんが支払います。価格は医療機関が任意に決められます。

もうひとつの前提は、言語や文化の違いだけを理由に診療を断ることは、原則として認められないということです。厚生労働省の2019年の通知は、外国人患者についても日本人と同じ基準で判断するとしています。だからこそ、受け入れたうえで、安全に診療し、確実に支払っていただくための準備が大切になります。

事前に準備しておくもの

  • 多言語の資料:診療申込書、問診票、概算医療費の説明、同意書など。厚生労働省の「外国人向け多言語説明資料」で無料で手に入ります(多言語問診票の選び方)。
  • 料金の決まり:訪日外国人の診療価格(1点あたりの単価や、通訳・書類の費用)と、その説明のしかた(価格設定の考え方)。
  • 支払い手段:クレジットカード決済。訪日外国人は日本円の現金を十分に持っていないことが多いためです。
  • 通訳の手段:翻訳アプリ、電話通訳、自治体の通訳窓口など(医療通訳の方法と費用)。
  • 英文書類の様式:診療明細書・領収書・診断書(英文書類の作り方)。
  • 院内掲示:自由診療であること、支払い方法、未払いの情報が国に報告され得ることを、多言語で掲示(未払い対策)。

受付でのチェックリスト(厚生労働省の8項目)

厚生労働省は、外国人患者の受付で確認すべきことを8つのチェックポイントにまとめています(受付時チェックリスト v1.2、2025年10月改訂)。

  1. 言語の確認:どの言語なら話せるか、読めるか。
  2. 来院目的の確認:どんな症状で来たのか。緊急の症状がないか。
  3. 診療申込書の記入:氏名(アルファベット)、国籍、日本での滞在先、滞在期間、連絡先、緊急連絡先など。未払いが起きたときに国へ情報を提供する仕組みの説明も入れておきます。
  4. 本人確認:訪日外国人はパスポートで確認します。
  5. 医療費の目安を伝える:概算の金額を、理解できる言語で、診察の前に。
  6. 支払い方法の確認:旅行保険の有無と種類、当日の支払い手段。
  7. 医療費に関する要望の確認:「保険の範囲内に収めたい」「追加の検査は先に金額を知らせてほしい」など。記録しておきます。
  8. もう一度チェック:抜けがないか最終確認。

国籍で本人確認の有無を決めない

厚生労働省のマニュアルは、国籍によって本人確認をするかどうかを決めないよう求めています。国籍による差別と受け取られないよう、日本の保険証を提示できない方には同じ手順で確認します。

当日の流れ:受付から会計・書類まで

1. 受付

上の8項目を確認します。旅行保険については、患者さんが自分で全額を払って帰国後に請求するタイプなのか、アシスタンス会社から支払保証書が届くタイプなのかで対応が変わります(旅行保険の対応手順)。

2. 問診

多言語の問診票か、スマホ・タブレットの問診で、症状の経過、持病、服用中の薬、アレルギー、妊娠の可能性などを確認します。緊急の症状は最初に確認します(英語の問診票テンプレート)。

3. 診察

翻訳アプリは日常会話にとどめ、病状の説明や同意が必要な場面では、医療通訳を使うことが勧められています。家族や友人による通訳には、誤訳のリスクがあります。

4. 会計

帰国前にすべて精算していただくのが原則です。帰国後の回収は非常に難しいためです。診察の後に必ず会計に寄るよう動線を作り、クレジットカードが使えない場合は、複数のカードの利用や国際ATMでの引き出しなどを案内します。

5. 書類の発行

帰国後の保険請求に必要な英文の診療明細書・領収書・診断書を発行します。必要な書類は、受付の時点で聞いておくと会計がスムーズです。

スタッフの手を、受付と会計から離すには

こうして並べると、外国人の患者さんの受け入れで手間がかかるのは、診察そのものより、診察の前(受付・問診・保険と支払いの確認)と後(会計・書類)だとわかります。

DOCTUS VISITORS は、この前と後を患者さん自身のスマホに任せる仕組みです。患者さんは受付のQRコードを読み取り、16言語の問診に答えながら、パスポート表記の氏名・滞在先・連絡先の入力と、保険・クレジットカードの確認までを済ませます。スタッフの画面には日本語で届き、緊急の可能性がある方は目立つように表示されます。会計は患者さんのスマホに届き、英文の書類もその場で発行できます。スタッフの作業は、内容を確認して受け付けることが中心になります。

この記事のまとめ

  • 訪日外国人の診療は自由診療。言語の違いだけを理由に断ることは原則できない。
  • 多言語資料・料金の決まり・カード決済・通訳手段・英文書類・院内掲示を事前に準備する。
  • 受付では厚生労働省の8項目(言語、目的、申込書、本人確認、医療費の目安、支払い方法、要望、再確認)を確認する。
  • 帰国前にすべて精算していただく。必要な書類は受付で聞いておく。

よくある質問

Q外国人の患者さんを断ることはできますか?
A

言語や文化の違いだけを理由に断ることは、原則として正当化されません。厚生労働省の通知は、外国人患者についても日本人と同じ基準で判断するとしています。ただし、言葉の違いの結果として診療そのものが著しく困難な場合は別とされています。

Qパスポートがない患者さんはどうすればよいですか?
A

電話番号、メールアドレス、勤務先、クレジットカードの提示など、できるだけ連絡先と本人を確認できる情報を集めます。本人確認ができなくても、診療の求めに応じる義務(応招義務)はかかります。

Q受付で最低限確認すべきことは何ですか?
A

話せる言語、来院の目的、パスポートでの本人確認と連絡先、保険の有無、支払い方法の5点です。そのうえで、概算の医療費を診察の前に伝えます。厚生労働省の受付チェックリストが参考になります。

Q対応に困ったときの相談先はありますか?
A

厚生労働省の「夜間・休日ワンストップ窓口」(医療機関・自治体向け)に相談できます。平日の夜間と土日祝は24時間対応で、医療機関の案内、通訳の案内、支払いの支援などに対応しています。

参考資料

  1. 厚生労働省 外国人患者の受付時チェックリスト(v1.2)
  2. 厚生労働省 外国人患者の受付時手順書(v1.2)
  3. 厚生労働省 外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル(第4.0版)
  4. 厚生労働省 外国人向け多言語説明資料
  5. 厚生労働省 夜間・休日ワンストップ窓口
  6. JNTO 訪日外客数(2025年)
  7. 観光庁 令和5年度 訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査
  8. 厚生労働省 応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について

DOCTUS VISITORS 編集部

株式会社バディアスが運営する、訪日外国人の患者さんの受付・問診・会計を支援するクリニック向けサービス「DOCTUS VISITORS」の編集部です。公的機関の資料をもとに、医療機関の実務に役立つ情報をお届けします。制度や数値は記事の更新日時点のものです。個別の診療判断や法的判断は、各専門家や所管の行政機関にご確認ください。

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